■目的と効果
長期修繕計画は、マンションの資産価値の維持・保全と快適な居住環境を確保するために、長期的な観点から修繕の内容・時期・費用等を計画するものです。
その結果次のような効果が期待できます。
- 区分所有者の維持管理意識が向上し、大規模修繕工事を行う際の住民合
意が形成しやすくなる。 - 修繕積立金と工事費の関係を明確にすることにより、必要な積立金額の
根拠を提供し、修繕積立金値上げの同意が得られやすくなる。
■内容
長期的展望に立ち、マンション共用部分等の各部分の修繕時期と概算費用を表示し、必要とされる修繕積立金の算定数字の根拠とする。
外壁や屋根などの建築関連の大規模修繕工事は通常12年を周期としており、これを2回含む期間とするのが合理的であるため、計画期間は25年以上とするのが望ましい。(新築時の場合は、必要な工事をほぼ網羅できるように30年とする)
標準管理規約第32条では「長期修繕計画の作成又は変更に関する業務」を管理組合の業務の一つとして挙げている。
また、標準管理規約のコメントでは、「対象工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓および玄関等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること」としている。
また、同じくコメントでは計画の内容についておおむね5年程度ごとに見直しが必要であるとしている。
■費用
長期修繕計画の作成又は見直しの費用は、どのような精度のものを作成するかにより大きく異なります。
精度の高いものは、そのマンションの特性や修繕履歴を踏まえた上で、いつどのような修繕が必要になるかを想定し、実際の工事項目を想定して見積もりを行うもので、マンションの規模や計画期間などにより異なりますが、20万円程度が一つの目安になるでしょう。
簡易な方法では、モデルによる計算をそのマンションに合った形に修正する、という方法をとります。
(財)マンション管理センターでは、次のような目的に使えるように簡易な修繕積立金算出システムを用意しており、登録管理組合13,000円、非登録管理組合20,000円と安価に提供しています。
- 現在の修繕積立金のレベルがどの程度か知りたい。
- 修繕積立金を増額する場合の、総会等に諮る資料としたい。
- 修繕積立金制度が現在ないので、とりあえず修繕積立金制度を成立させ
るための目安が欲しい。 - 概略の長期修繕計画を作りたい。
入力の手間が多少かかることや、費用が高めに算出される傾向がありますが、上記の目的には十分実用になるでしょう。面倒であればマンション管理士などに入力を依頼してもよいでしょう。